銀座は天ぷら・天丼の激戦区。その中でも長い歴史を持ち銀座を代表する老舗天ぷら屋がある。「銀座天國」だ。
その昔、大正時代には「ギンブラニ テンプラ テンクニノ テンプラ」のキャッチフレーズで多くの人々の心をとらえ、憧れの店として人気を集めたそうだ。名前(店名)の由来は「江戸っ子の気さくな人柄は『天ぷらの國(くに)ちゃん』と親しまれ、そこから屋号を天國と命名した」とのこと。
天國は屋台店からはじまった
銀座天國(てんくに)は、明治18年に初代露木國松氏によって銀座の真ん中に屋台店としてスタート。当時の天ぷらは手軽に食べられるファーストフードのような位置づけの食べ物だったそうだ。
天國ビルへ
大正13年には銀座八丁目交差点、ちょうど博品館の向かい側に移転。木造二階建ての店舗は瓦屋根が素敵な和風建築として長年愛されてきたが、昭和27年(1952年)に店舗大改造。老地化に伴い1983年の夏に惜しまれながら取り壊し、「天國ビル」が建設された。このビルは中央通りに面し非常に視認性が高かった(長年親しまれた)が、2019年に手放し(SMFL みらいパートナーズ株式会社に売却)その後、数か月の休業を経て2020年2月に現在の場所(銀座8-11-3)に移転してきた。
木挽町 天國
なお、「木挽町 天國」もルーツは同じようだ。歴史を調べると銀座・歌舞伎座裏に出したのが始まりーとされているので、木挽町が元祖なのかもしれないが関係性について詳しくは語られていない。古い時代に暖簾分けをして、それぞれ独自の道を歩んできたのだろう。とはいえ「木挽町 天國」は新宿高島屋でのみ営業しているため、現在銀座で営業を続けている天國は正真正銘ここだけだ。
新天國ビル
現在の天國ビルは以下の通り。フロアによって違ったスタイルの料理が楽しめる。
1階:昔から変わらぬ味とスタイル「天丼・天ぷらの天國」。
2階:目の前で一品ずつ天ぷらを揚るカウンタースタイルのフロア。
3階:職人こだわりの一品やコース料理を提供する日本料理屋。
豊富なメニュー
メニューは以下の通り。ランチメニューのほか、天丼、天ぷら盛り合わせ、お食事、お土産など。
おすすめの天ぷら、一品料理。そしてデザートも!
こちらは名物、天國特製かき揚丼。天國の江戸前天ぷらについてのこだわりも書かれている。
1階店舗はカウンターが10席、テーブルが20席、計30席だ。
揚げるシーンを目の前で見たい人はカウンター席を選ぶと良いだろう。
天國特製かき揚丼(3960円)を注文。お新香、味噌汁が付いてくる。
具材がシンプルに見えるが、プリプリの海老と貝の小柱がたっぷり入っている。全体が同じ厚みになるよう、かき揚げのまん中を少し凹ませてアーチ状にすることで、まんべんなく火が通るようにしているとのこと。天丼にかける情熱がほとばしっている!
甘辛いタレがたっぷりかかった濃厚な味わいは伝統の味。揚がったらすぐに、丼つゆにサッとくぐらせ、味を染み込ませるとともに油を取り除いているそうだ。なので、見た目ほどこってり感はなく、後味もさっぱりとしている。
そして、こちらが「お昼天丼」(1500円)。天國特製かき揚丼(3960円)に比べるとリーズナブルかつ見栄えも贅沢に見える。「コスパ」を実感したい人には、こちらが断然おすすめだ。
海老が3尾、イカかき揚げ、野菜2点(茄子&蓮根)。こちらもお新香&味噌汁付き。
おいしさは、まさに天国
揚げたてサクサクの天ぷらにタレをくぐらせて仕立てた天丼のおいしさは格別。ご飯との相性は言うまでもない。内側に曲がるエビの筋肉を指で移動させ、まっすぐなてんぷらを作る技術を編み出し、現在の味を完成させたのは、二代目元蔵さんと三代目直彦さん。
天ぷらへのこだわり
季節によって湿度が変わる。すると粉の状態も変わるので粉をとく際、箸の先で感触・状態を判断し、加える水の量を決めているのだそうだ。まさに職人技!
こだわりの詰まった天ぷら、天丼、かき揚げ丼が食べたい真の天ぷら好きなら一度は訪れたいお店だ。
住所 | |
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TEL | 03-3571-1092 |
営業 時間 |
11:30~21:00(L.O.20:00) ランチ11:30~15:00 |
定休日 | 日曜日 |
駐車場 | 無 |