東銀座に超人気のラーメン店があるのをご存じだろうか。お店の名前は『銀座 八五(はちごう)』。
銀座マロニエ通りを築地方面に進み、昭和通りを超え、首都高速都心環状線にかかる亀井橋のちょい手前の右側にある。お店が営業していれば、その前に長打の列ができているのできっとすぐにわかるはずだ。この人気店の店主は京都出身の松村靖氏。元々フレンチのシェフであり、「京都全日空ホテル(現ANAクラウンプラザホテル京都)」で長年にわたって総料理長を務めたスゴイ人。2011年には京都府知事表彰「現代の名工」も受賞している。その後、高級なフレンチ料理よりも、もう少し気軽に誰もが食べられる料理を作りたい...という想いから、この「銀座 八五」は誕生したのだとか。
店名「八五」に込められた意味
読み方が難しい「八五(はちごう)」という店名は、「八」の字を日本を代表する富士山に見立て「五」合目から山頂を目指すとの意を込めたものだ。
店舗の外観はまるで割烹料理のような佇まい。ぱっと見ラーメン屋には見えない。
「ミシュランガイド東京2020年版」にて、ビブグルマンとして掲載されたこともあり、お店には長蛇の列が・・・。
店内はカウンターのみ6席。
お店を入ると券売機がある。「季節のそば」「特製肉ご飯」は売り切れ。「特製中華そば」(1,050円)を注文。
まずは、お冷、お箸、蓮華、おしぼりが出てくる。希望をすれば紙エプロンやほうじ茶なども提供してもらえる。
特製中華そばの登場。おおお~。
なんとも美しいビジュアル。お店の雰囲気と一致した中華そばだ。具材は「ネギ」「メンマ」「チャーシュー」「味玉」と、いたってシンプル。
かえし(タレ)を使わない黄金色で透き通ったこだわりのスープ。まるでコンソメスープのような上品な味わいだ。完全に“洋”の風味。
あっさりとしているのに深いコク。この味の秘密は、スープの素材に、生ハム、カモ、名古屋コーチン、干しシイタケ、昆布、ドライトマトなどが使われている。さすが元フランスシェフ。これぞ唯一無二の味!シンプルな見た目からは想像ができない複雑な味がする。
麺は、ラーメン好きにはおなじみの老舗製麺所、浅草開化楼の細麺を使用。小麦の風味がしっかり楽しめて、歯ごたえも良く、それでいてスープとの絡みも抜群。「計算し尽くされた味」とはこういうことを言うのだろう。
麺の上には、やわらかい豚バラ肉のチャーシューが2枚乗っている。程よい弾力のやわらかさ。噛めば噛むほど肉の持つ旨味がじんわりと口の中に広がる...なんたるおいしさ。
上品な味わいのメンマ。素材ひとつひとつがイチイチおいしい...。
こちらは半熟の味玉。ほどよい醤油風味で味はしっかりとしみている。
元々、“残すことができないスープを創る”という想いがあったそうだ。なるほど...グイグイ飲んでしまう。麺と絡めてスープをすする・・・。残ったスープもしっかりと飲み干し完食!幸せの一杯だった。
カウンターに並んだ客は皆黙々と中華そばを食べている。つくる側がこれだけ真剣につくった中華そば。やはり食べる側も真剣にならざるを得ない。お店も客も皆、目の前の麺としっかり向き合っている。
中華そばのおいしさはもちろんだが、もうひとつ気づいた点がある。それは......店主の松村氏が大事にしていることなのかもしれないが、とにかくスタッフの方たちの接客態度が素晴らしいということ。味、接客、空間すべてが上質。
2時間並んでも食べるのは10分ほどだ。「銀座 八五」は、店側も客側も真剣に「麺」と向き合っており、お腹と心も満たされる素晴らしい空間だった。これなら長時間待ってもそれ以上の価値を感じること間違いなし。よし、また行こう。
『銀座 八五(はちごう)』
電話:050-5596-6139
住所:東京都中央区銀座3-14-2 第一はなぶさビル 1F
営業時間:11:00~15:0017:00~21:00
※スープがなくなり次第、営業終了。
定休日:毎週水曜日、第2第4木曜日